研究テーマ
当研究室ではヒトの意思決定の心理・神経メカニズムに関する研究を主軸としています。手法としては、主に機能的共鳴画像法(functional magnetic resonance imaging: fMRI)を中心とした脳機能イメージングと、脳損傷患者を対象とした神経心理学的研究を相補的に用いています。
阿部の研究の中心テーマは、正直さ・不正直さの神経基盤であり、ヒトが正直に振る舞うかウソをついてしまうか、そのメカニズムを心理学及び神経科学の観点から研究しています。意思決定との関連では、選好判断や道徳判断、恋愛感情の神経基盤に関する研究を、共同研究者と進めています。また、認知症疾患や精神疾患、発達障害の脳構造・機能画像研究や、高齢者・小児を対象とした認知機能及び神経基盤に関する研究など、臨床研究を含む多様な研究にも参画してきました。ここ数年は、文化神経科学分野の研究にも着手し、海外の研究者との共同研究を開始しています。また最近では産学連携の枠組みにおいて、ギャンブルのプロセス研究を進めています。当研究室では、人間の意思決定を中心に、社会性や道徳性を幅広く対象として、分野にとらわれない多角的な研究手法でアプローチしたいと考えています。
MRIを用いた脳機能・構造画像研究を行う際は、主に人と社会の未来研究院連携MRI研究施設のMRI装置(SIEMENS社製 3T)を利用しています。神経心理学的研究は、学内外の共同研究者の協力を得て実施しています。また、当研究室ではSoterix Medical社製の経頭蓋直流電気刺激装置(transcranial direct current stimulation: tDCS)とBrain Products社製の脳波計(electroencephalography:EEG)を保有しています。